安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件を受け、親の宗教活動によって人生や生活にさまざまな制約を受ける「宗教2世」の存在がクローズアップされています。教育費の問題に詳しい日本大学の末冨芳教授(教育行政学)は、宗教に限らず、親のことで悩み苦しんでいる若い世代の問題を、改めて考える必要があると指摘しています。具体的にどうすればいいのでしょうか。
――今回の事件では、容疑者が、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に入信した母親が多額の献金をしたために生活が苦しくなったなどと供述したことから、宗教2世の生きづらさが関心を集めています。
宗教2世として生きづらさを抱えている人はもちろんですが、それ以外のことでも、親が適切な関わりをしていないことで苦しむ子どもたちは大勢います。いわゆる「毒親」に関連する問題です。
子どもの利益のために、子どもの世話や教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限・義務を「親権」と言います。日本では、この親権が強く、親権制限のハードルも高いために、たとえ適切に行使されていない場合でも、子どもが家庭の中で苦しみ続けなければいけないことがめずらしくありません。
宗教に限らない「親からの制限」
――今回の事件にからみ、進学校を卒業した容疑者が専門学校に進んでいたことについて、親族は「大学に行きたかったと思うが、学費が払えそうになかった」と説明しています。
教育現場にいる身として、宗…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル